この記事では、サステナビリティレポートにおける第三者保証がなぜ重要なのか、そして保証の担い手を巡る動向を解説し、併せてBSIがご提供するサービスの概要をご案内いたします。
サステナビリティレポートにおける「第三者保証」の現在地
サステナビリティレポートは、企業が環境・社会・ガバナンス(ESG)などの非財務情報をまとめ、利害関係者に伝えるための重要な報告書です。投資家や取引先など多様なステークホルダーが企業の持続可能性を評価し、長期的な安定性や成長性を判断する際に欠かせないため、記載される内容はデータに基づく正確性が求められます。
近年は、非財務情報を重視する投資家や金融機関が増え、サステナビリティ情報を用いた投資判断も一般的になってきました。そのため、企業が独自に作成したデータだけでは信頼性が不十分とされ、第三者による客観的な評価の必要性が高まっています。
また、透明性の高い情報を公表することが「自社の価値向上や事業機会の特定にもつながる」と捉え、レポート作成と開示に意欲的に取り組む企業が増えていることも背景の一つと言えるでしょう。
現在、サステナビリティレポートにおける開示対象は「CO₂排出量」にとどまらず、水使用量、廃棄物、社会・人権、サプライチェーン、ガバナンスなど多岐にわたり、算定方法も複雑で誤差が生じやすいことから、外部の専門家によるデータの正確性評価が求められるようになりました。また、欧州ではCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive:企業サステナビリティ報告指令)によるESRS(European Sustainability Reporting Standards:欧州サステナビリティ報告基準)基準に沿った情報開示の義務化、そしてESGを含む非財務情報の開示における国際基準の策定を目的とするISSB(International Sustainability Standards Board:国際サステナビリティ基準審議会)が定めるISSB基準に準拠した情報開示の義務化が拡大しています。そして日本においてもISSB基準との整合性があるSSBJ基準に沿った情報開示が段階的に義務化するなど、非財務情報に関する情報開示は新たな局面を迎えています。
これらの背景から、企業が作成したレポートの妥当性を外部専門家が検証する「第三者保証」のニーズが高まっており、米国のS&P500企業では2023年時点で70 %を上回る企業がサステナビリティ情報について第三者保証を受けていると報告されています。
参照:S&P 500 Sustainability Reporting and Assurance Analysis
サステナビリティレポートの第三者保証の担い手について
第三者保証へのニーズが高まるなか、実際に保証を行うのはどのような組織なのでしょうか。自社が時間と労力をかけて作成したレポートの検証を、十分な知識と専門性を備えたプロに依頼したいと考えるのは自然なことです。
現在、サステナビリティ情報の第三者保証サービスは、主に監査法人が担っています。国際会計士連盟(IFAC)の調査によれば、全保証業務のうち約58%を会計事務所が実施しているというデータがあります。
監査法人が担い手となるメリットは、財務諸表監査で培われた厳格な手続きや内部統制レビューのノウハウを活かせる点です。一方で、環境工学や人権など、財務領域とは異なる高度な専門知識を必要とするテーマでは、専門人材の確保が課題となる可能性もあります。
こうした状況を踏まえ、金融庁のワーキンググループでは保証の担い手に関する議論が活発に進められており、監査法人に限定せずに、第三者保証の量と質を支える制度設計が検討されています。
監査法人以外の認証機関やコンサルティング会社をパートナーとするメリットは、専門分野への知見が深いことです。特に環境負荷測定や社会性の評価など、科学的・工学的な観点を含むテーマでは、従来の監査手法だけではカバーしきれない可能性があります。サステナビリティ情報は環境・社会・ガバナンスにまたがるため、保証の質を考えるうえでは、保証水準だけでなく、評価対象に対する十分な知見を備えた体制かどうかも重要なポイントです。
認証機関であるBSIジャパンのサステナビリティ情報の第三者保証および関連サービス
ここからは、BSIが提供するサステナビリティレポートの第三者保証および関連サービスの特徴をご紹介します。
サステナビリティレポートの作成・開示を行うにあたっては
「サステナビリティの実務をリードしていける専門人材が不足している」
「複数の部署、もしくはサプライチェーンにまたがって行われるデータ収集と算定に際して、算定結果に誤差が生じる」
「様々な国際基準の要求事項を理解するのが難しい」
など様々なチャレンジが発生します。
国際認証機関であるBSIには、日本のみならず世界各国の検証事例が蓄積されており、サステナビリティ情報の検証・保証対応を進める際に直面する課題に対して、各国の実例を踏まえながら検証を行います。
また、開示・保証を推進するうえでは社内人材の育成も欠かせません。サステナビリティレポートの作成や第三者保証を進めるにあたっては、GHG算定や検証、更にはサステナビリティレポート作成に必要な知識を備えた人材の育成が重要とされており、BSIでは人材育成につながる多様な研修を提供しています。さらに、お客様が適切な支援を受けられるよう、豊富な経験と知識を備えた専門団体とのパートナーシップを活用し、開示・保証対応における課題解決を総合的に支援します。
【お勧めの研修】
最後に
サステナビリティレポートへの第三者保証は、企業がリスク管理と価値創造の両面で大きなメリットを得る手段として注目されています。今後、国内外での規制強化や国際基準の導入が進めば、情報の正確性や透明性に対する要求はさらに高まり、企業に求められる責任も増していくことが予想されます。
そのためには、まず社内体制の整備とデータ収集の精緻化が不可欠です。あわせて、どの保証提供者に依頼するかを慎重に検討し、自社の事業特性に合った専門知識と実績を持つパートナーを選ぶことが重要です。こうした取り組みを重ねることで、企業は自らの活動をより深く理解し、ステークホルダーとの対話の質を高め、持続可能な経営基盤を強化していくことが期待されます。