世界で最も広く採用されている品質マネジメント規格であるISO 9001が、10年以上ぶりに改訂されます。2025年8月のISO/DIS 9001:2025のリリースは新たな章の始まりを示し、改訂された規格は2026年9月に公開される予定です。
本改訂は、組織やその事業環境の変化するニーズに対応するものです。完全な大幅改訂ではなく、馴染みのある調和させる構造(HS)を維持しつつ、今日の世界で規格の有用性を高める更新が盛り込まれた、慎重かつ意図的な進化と言えます
ISO 9001の改訂が重要な理由
ISO 9001は30年以上にわたり、組織の信頼構築、パフォーマンスの向上、そして安定した品質の提供を支援してきました。しかし、その間に世界は大きく変化しており、2015年の前回改訂以降もさらに状況は変わっています。
現代の組織は、気候変動やデジタル化の影響から、ステークホルダーの期待や倫理的配慮の変化まで、さまざまな新たな課題に直面しています。
ISO 9001の改訂は、こうした変化を踏まえたものです。現行規格の強みを引き継ぎつつ、現代のビジネス課題に対応するための戦略的なアプローチが導入されています。
提案されている変更点は何ですか?
国際規格草案(DIS)は今後変更される可能性がありますが、主な更新内容は次のとおりです。
- 品質文化と倫理的行動:箇条5.1.1および7.3では、共有価値観の醸成、倫理的行動、リーダーシップの責任に重点を置き、品質を組織文化に根付かせることが強調されています。
- リスクと機会: 箇条6.1では、リスク管理と機会追求をより明確に区別し、積極的な改善や戦略的思考を奨励しています。
- 変更管理: 箇条6.3および8.5.6では、戦略的整合性、運用管理、継続的改善を支援する、より強化された統合的な変更管理のアプローチが導入されます。
- 改訂・拡張された附属書A – 構造、用語、箇条の明確化:付属書Aでは、規格の要求事項の解釈と実施を一貫して行えるよう、さらなる明確化が行われています。
これらの変更は、単なる規格遵守やパフォーマンスの向上を超え、より包括的なガバナンスの視点で品質を捉える考え方を反映しています。
ISO 9001の改訂を理解する
当ページ下部の動画をご覧いただき、ISO 9001が改訂される理由、改訂の戦略的意図、そして規格利用者にとっての意味をご確認ください。
ISO 9001の改訂に備える方法
これは、現行の品質マネジメントシステム(QMS)を見直し、実際に価値をもたらすものになっているかを確認する絶好の機会です。単なる規格遵守を超え、業績の最適化を目指しましょう。
潜在的な変更点を把握する
当社のISO 9001改訂情報ページにて、規格の主要な箇条ごとの潜在的な変更点の概要をご覧いただけます。これは、最終国際規格案(FDIS)で正式に確認される前に、期待事項を把握するのにお役立ていただけます。
潜在的な研修ニーズの把握
改訂の可能性のある内容を確認する際に、貴組織のチームに知識やスキルのギャップがないかもあわせて検討してください。
当社ではFDISの発行後、改訂内容を自信を持って実施できるようサポートする研修をご提供します。当研修は、技術的に正確で更新された要求事項と完全に準拠しているため、安心してご活用いただけます。
認証移行への準備を検討する
改訂された規格が公開された後に行われる認証移行の準備について検討を始めましょう。潜在的な変更内容に応じて、移行計画を立てることをお勧めします
現行のQMSは、改訂の意図にどの程度適合していますか?新規格をいち早く導入されますか?早期に行動することで、新しい規格のメリットをより早く享受し、認証の移行に備えることができます。
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改訂および認証移行の進捗状況については、随時お知らせいたします。フォームにご登録いただくと、ステータス通知、無料ガイダンス、研修、移行に関する情報をお受け取りいただけます。
ISO 9001の改訂は、品質は固定的なものではなく、周囲の環境とともに進化するものであることを改めて示しています。今のうちに理解を深めることで、今後の対応に自信をもって備えることができます。