BSIグループ(英国規格協会)、パーパス・ドリブンな組織に関する 世界初の規格「PAS 808」を発表

「欧米では7割以上のビジネスリーダーが取引先企業のパーパス(存在意義)を考慮」など、各国の意識調査結果も公表

2023年1月27日、英国規格協会(The British Standards Institution、以下「BSI」)は英国、米国、インド、中国、日本において消費者とビジネスリーダーを対象とした企業の「存在意義(パーパス)」(※1)に関する意識調査(※2)の結果を公表しました。

本プレスリリースのハイライト

  1. BSIはPAS 808の発表にあわせ、英国、米国、インド、中国、日本の一般消費者各2,000人、ビジネスリーダー各350人を対象とした企業の「存在意義(パーパス)」に関する意識調査結果を公表しました。その結果は、海外では既にパーパスの理念が浸透している実態を明らかにし、企業のパーパスに関する世界初の規格となるPAS 808の重要性を明示するものでした。
  2. 日本の調査結果では、「パーパスに従って行動しない企業の製品・サービス利用をやめる」と回答した消費者が26%(中国42%、インド43%、米国32%、英国43%)、「わからない」が41%(中国7%、インド7%、米国17%、英国14%)にのぼりました。
  3. 「(自社に)明文化されたパーパスがある」と回答した日本のビジネスリーダーは40%(中国93%、インド86%、米国72%、英国63%)と、他国と比較し著しく低い結果となりました。

PAS 808

2023年1月27日、英国規格協会(The British Standards Institution、以下「BSI」)は英国、米国、インド、中国、日本において消費者とビジネスリーダーを対象とした企業の「存在意義(パーパス)」(※1)に関する意識調査(※2)の結果を公表しました。それによると、本国の英国においては、消費者の半数近く(47%)が購入を決定する際に企業のパーパスを考慮すると回答し、ビジネスリーダーの78%が取引先企業のパーパスを考慮すると回答するなど、パーパス・ドリブンな組織(パーパス・ドリブン・オーガニゼーション、以下PDO)の原則に従わない組織が許容されなくなっていることを証明する結果となりました。

これに対し日本の調査結果からは、「企業の『パーパス』が何を意味するのかわからない」と回答した消費者が30%(中国5%、インド5%、米国10%、英国13%)に上るなど、他国との比較においてパーパスの概念が浸透していない実態が浮き彫りとなりました。

グローバルにおけるパーパスへの関心の高まりを受け、BSIはこのたび「PAS 808(※3):パーパス・ドリブン・オーガニゼーション(PDO)の世界観、原則、行動」を発表しました。これは、企業のパーパスとは何か、PDOはどのように意思決定に取り組み、行動すべきかという指針を世界中の企業に提示する初の規格となります。

 

(※1)企業の「存在意義(パーパス)」:すべての人および地球の長期的な幸福に戦略的に貢献するために企業が存在する理由を明文化し、公開したもの。

(※2)企業の「存在意義(パーパス)」に関する意識調査の主な設問と、日本および各国の調査結果は【参考資料】「主な設問と日本および各国の調査結果(一部抜粋)」をご参照ください。

(※3)PAS:Publicly Available Specification:公開仕様書

 

BSIが発行したこの新しい規格PAS 808は、組織が方針、プロセス、実践、製品、サービス、バリューネットワークにパーパスを制定し、定着させるための独自の戦略やアプローチを開発する上で役立つ実用的な指針です。このガイドは、パーパスに関連する世界共通の用語と定義を確立し、PDOの世界観、原則、関連する行動や活動の概要を示すものです。

 

BSIのセクター担当ディレクターであるAnne Hayesは次のように述べています。

「この調査により、組織を持続可能な未来に合致させるために喫緊の行動が必要であることが明らかになりました。PDOがその鍵を握っている可能性があり、ビジネスにおけるパーパスには明確な財務上のメリットがあるというコンセンサスが高まってきています。
私たちは、顧客の信頼を失った企業が、ビジネスを失う可能性がある時代に生きています。PAS 808は、企業がそのパーパスと行動を一致させるという差し迫った課題を解決するための分岐点となるものです。我々は、優れたPDOがどのようなものかを解明し、アカウンタビリティ(説明責任)のフレームワークを提供するために、幅広いステークホルダーを招集できたことを誇りに思います。」

 

BSIグループジャパン 代表取締役社長 漆原 将樹(うるしはら まさき)は次のように述べています。

「PAS 808の発表にあわせて実施した意識調査では、日本では企業のパーパスという理念がまだ浸透していない実態が明らかになりました。グローバルにおいては企業の非財務情報の重要性が確実に高まっており、明確なパーパスを持ち、それに則って意思決定を行うPDOが、持続可能な組織の在り方として注目を集めています。BSIグループジャパンでは、新たに発表されたPAS 808の普及を通し、日本企業の皆様にグローバルスタンダードとしての『パーパス』について理解浸透を図ることで、持続的な成長をお手伝いしたいと考えております。」

また、BSIでは、持続可能な組織成長を支援するため、人的資本経営に関するさまざまなサービスを展開しております。サービスの一例としては、「ISO 30414:人的資本に関する情報開示のガイドライン」( https://www.bsigroup.com/ja-JP/iso-30414/ )に基づくGAP分析や第三者保証書の発行を通して人的資本に関するデータの信頼性を保証していくというものがあります。人的資本経営は、パーパス経営と同じく、非財務情報の重要性が高まる中において持続可能な組織に求められるものとして注目されています。「人」を「資本」と捉え、積極的に投資を行い、持続的な企業価値の向上につなげる経営に対しての注目が集まっているということが言えます。

パーパス経営の根底には、人を突き動かす信念があります。パーパス経営を推進している組織は、従業員が能力を発揮でき、企業価値を高めている企業、つまり人的資本経営が浸透していると考えられます。今後、企業の持続可能性や存在価値や人の成長という観点で、パーパス経営と人的資本経営は、「選ばれる」組織となるための不可欠の要素になりつつあります。

 

「PAS 808」の詳細は下記よりご覧いただけます。
https://www.bsigroup.com/en-GB/standards/pas-808/

 

運営グループ:

「PAS 808:パーパス・ドリブン・オーガニゼーション - 持続可能性に向けた世界観、原則、行動」ガイドは、以下の組織の代表による運営グループによって策定されました。Anglian Water、B Lab UK、Blueprint for Better Business、Business in the Community、Cambridge Institute for Sustainability Leadership、Chartered Management Institute、Department for Digital, Culture, Media and Sport (UK)、Future-Fit Foundation、JLL、John Lewis Partnership、KPMG、ReGenerate、The Wildlife Trusts、WBCSD。