2022年8月発行
TPM(Total Productive Maintenance)は、1971年に日本で初めて開発された経営手法で、当初は自動車産業サプライチェーンで採用されました。生産システムの効率を最大限に高め、全体的な効率向上をもたらす企業システムを構築することを目的とした手法です。生産システムのライフサイクル全体で「事故ゼロ、不良ゼロ、故障ゼロ」を実現する仕組みなど、現場でのあらゆるロスの発生を防ぐ仕組みを構築することで実現します。
また、TPMは生産部門、開発部門、管理部門など、組織横断的に適用されます。さらに、トップマネジメントから現場の従業員まで、すべてのメンバーが参加することが求められています。小さな活動の積み重ねを通して、ロスゼロを目指します。
TPMの発展
日本から始まったTPMは、急速に発展していきました。その後、半世紀の間にその有効性が知られるようになり、世界各地、さまざまな産業で広く採用されるようになりました。これは大きなメリットです。
しかし、TPMの考え方を取り入れようとする組織の中には、それがうまくいかず、TPMが完全に正しく実施されないケースもあります。その結果、TPMの評判が下がり、その利用から利益を得ようとする多くの人々を失望させることになります。
BSIは、このような状況を改善するための支援に乗り出しました。TPMの共同開発者である公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会「JIPM」と協力し、運営グループを立ち上げました。彼らの作業により、PAS 1918:2022 Total productive maintenance (TPM) - Implementing key performance indicators - Guideが作成されました。この新しい規格は、TPMを採用するための一貫した正しく効果的なアプローチを提供します。
効率の最大化
PAS 1918:2022は、総合的生産保全(TPM)の概念と、その実施に関連する主要業績評価指標(KPI)に関する指針を提供しています。製造工場や設備に対するTPMのガイダンスが提供されています。PASの目的は、TPMの誤った適用に正面から取り組み、組織がTPMを正しく採用できるようにすることです。
PAS1918は、IATF(国際自動車作業部会)認証を目指す企業向けに、IATF16949に記載されているTPMの基本を定めたものです。この基本に基づき、適用範囲の拡大や新しい技術の導入を排除するものではありません。
また、PASは、どの地域のどの製造組織でもTPM KPIを実施できるよう、明確なガイダンスを示しています。これにより、TPMの一貫した標準的な取り組みが可能になるはずです。
TPMを正しく適用することで、製造業やプロセス産業は、生産性の向上、プロセスの効率化、リスク管理の強化に貢献することができます。また、新しい顧客の開拓や、新しいサプライチェーンへの参加も可能になります。PAS 1918は、製造業がTPMを初めて導入する場合でも、既存の導入をより効果的にする場合でも、TPMを確実に実現するための権威あるガイダンスを提供することができるようになりました。