ISO 30401
ナレッジマネジメントシステム

ISO 30401は、知識を『人間』または『組織の資産』として定義し、効果的な意思決定と状況に応じた行動を組織内に共有するための規格です。人々によって作成された知識が対象になり、経験、ノウハウ、洞察等が含まれています。

知識はドキュメントに体系化できますが、完全に把握することはできず、また組織ごとに異なる知識のニーズがあります。そのマネジメント方法に関して様々な要望があり、2014年にイスラエル規格協会がISOに対してナレッジマネジメントの国際規格化を働きかけがあり、2018年11月にISO規格の発行に至りました。

ナレッジマネジメント規格化要請の背景は下記の通りです。 

• 欧州ナレッジ・エコノミー下、企業・組織が知識（無形資産）をマネジメントすることの重要性認識が広がっていた
• 一方、「ナレッジマネジメント」に対する共通の定義や認識がないため、誤解が絶えなかった
• 2015年のISO 9001（品質マネジメント）の改訂で「組織的な知識のマネジメント」が必須となり、KMの要請が増大した

ISO 30401規格の重要性

1. 仕事の目的は、貴重な結果を生み出すことです。貴重な結果は、応用知識から得られます。組織活動から生み出された応用知識は、他部署への効果・コラボレーション、また市場における競争の重要な差別化要因になります。
2. 知識は組織にとって重要な資産になります。知識は多くの分野で効果的な意思決定を可能にし、プロセスの効率性をサポートや、レジリエンスと適応性を生み出し、競争上の優位性を生み出します。
3. ナレッジマネジメントが強化されると、学習、実践、共有を通じて組織内の人々の専門能力開発の機会が生まれます。
4. 地理的に分散した組織は、ナレッジマネジメントを通じて、複数の場所で同じサービスの提供、組織の境界を越えて実践、専門知識の学習と共有を可能にし、組織に大きな利点を与えます。 
5. 今日の社会における労働力の減少と従業員の離職は、ナレッジマネジメントに影響を及ぼします。重要な知識は専門家によってサイロ化および/または保持されていることが多いため、ナレッジマネジメントを通じて、これらの専門家が退職したときに失われるリスクを防止することが可能です。