ISO 19650 Part 1 及び Part 2
BIMを導入する際に考慮すべきこと

新型コロナウィルス感染症が世界中において、個人、組織、消費者に与えた課題は、周知の通りですが、建設業界も例外ではありません。組織が再開し再建するための計画を立てる上で、組織の現状を再評価する際、その組織にとって「新たな日常」がどのようになるか、 またレジリエントな復旧への移行に向けてどのようなスタートを切ることができるかを検討します。

組織レジリエンスとは、「組織が存続し繁栄するために、漸進的な変化や突然の混乱に対して予見、準備、対応、適応する能力」を意味します。BSIでは、お客様が自組織のスキル及び能力を見直し、いつもと違う方法でそれらを適用して、自組織の従業員をサポートし、必要なときには他者を助けるために、現在の状況にいかに適応しているかに感銘を受けました。

しかし、これはより大きな疑問を提起します。いつ再建するのが適切か、そして持続可能かつレジリエントな未来とはどのようなものなのか?

多くの人にとって、イノベーション、コラボレーション、スキルの向上、標準化、オフサイト製造はすでに議題になっていますが、今こそこれらをより詳しく検討するときです。より協調し、より革新的に、より有益に、より持続可能で、収益性と回復力を持ったセクターにするという共通の目的を達成するために何ができるかを特定することが必要です。

さらに、世界の人口は増加し続け、都市化が急速に増加しており、多くの国では、住宅、交通、エネルギーシステム、医療システム、教育システム、その他のインフラストラクチャなど、人口のニーズを満たすための課題に直面しています。

(持続可能な)インフラストラクチャの開発に対する需要の高まりにおいて、熟練労働力不足、及びコストと生産性の面でのパフォーマンスの低さが課題となっています。

BIM

レジリエントになるためには、新しい考え方や働き方に対応し、それを取り入れていかなければなりません。Building Information Modelling(BIM)は、事業継続、環境マネジメント、労働安全衛生への対処などのベストプラクティスと言われる多くの取組みを導入するとともに、例えば、2021年以降、真に持続可能で回復力のある組織を構築するために、パフォーマンス及びスキル不足といった課題に対処するのに役立ちます。この機会をモノにする組織は、グローバル市場で成功を収めていけるでしょう。

コラボレーション、標準化、生産性を向上させるために、国際標準化機構(ISO)は、ISO 19650を発行しました。これは、Building Information Modelling(BIM)、つまり、建物の情報モデルを使用した情報マネジメントを含む、建築物及び土木工事に関する情報の編纂とデジタル化のための規格です。

最初の2つ、ISO 19650-1:2018及びISO 19650-2:2018は2018年終わりに発行されました。ISO 19650 Part 5が2020年7月、Part 3が2020年後半に発行される予定です。

ISO 19650 Part 1では、資産所有者、リードデザイナー、非リードデザイナー、主要請負業者、下請業者、製造業者、投資家、エンドユーザー及び公的機関など、資産ライフサイクル全体にわたるすべての関係者に対する明確な原則を定めています。

ISO 19650 Part 2では、設計から計画、調達、建設、運用及び建築資産の処分に至るまでの情報マネジメントに関する具体的な要求事項を定めています。

ISO 19650に基づく情報マネジメントでは、appointing party(英国:クライアント)、lead appointed party(英国:主任設計者または主契約者) 及びappointed party(英国:非主任設計者、下請業者及び製造業者など)が特定の機能を実行するために必要となります。

これらには、一連の明確な情報要求事項、能力及びキャパシティーの評価 、情報要求事項への対応、情報の生成、検証及び配信が含まれます。利害関係者が実行する必要があるすべてのプロジェクトという活動の範囲を考えると、ビジネスレベルでのISO 19650に基づいた情報マネジメントを実施することは、組織変更として扱われなければならない、非常に大きなタスクと捉えることができます。

5つのレベル、つまり、いつ、誰が、何を、なぜ、どのように、における変化について考えることが重要です。

 

BIM

  • 情報マネジメントの目的を定義します。情報マネジメントによって、(資産管理、プロジェクト管理、プロジェクト提供に関して)どのように業務を改善できますか?
  • 必要なリソース(人、書面による手順書、研修/スキル、ITソフトウェア/ハードウェア) 及びそれらが既存のリソースと比較しどのようであるかを理解します。
  • 必要な追加のリソースを得るための計画を立てます。支出や作業プロセスの変更が必要な場合、それらに対する承認を得るために何をする必要がありますか?
  • 進捗を監視し、マイルストーン及び目的が達成されているかを確認します。

すでにこの方法を取り入れて働いている人にとって、ビジネス上の利点は明らかです。変更マネジメントプログラムとして扱われるもので、当社のお客様は既に、仕事の獲得、納品及び運用において、時間やコストの節約を経験しています。サプライチェーンとより優れたコラボレーションを行うことにより、衝突、誤解及び再作業が減らすことができます。さらには、最終的により良い価値が資産所有者及びテナントに提供され、より優れたインフラストラクチャ及び建築物が生まれるのです。

 

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