BSI(英国規格協会)、スマートシティに関する国際規格PAS 180とPAS 181を発行

2014年3月27日

BSI(英国規格協会)は、スマートシティに関する国際規格PAS 180(スマートシティ - 用語規定)とPAS 181(スマートシティ・フレームワーク - スマートシティとスマートコミュニティ戦略立案のガイド)を2月末に発行しました。

BSIは、多くの都市でスマートシティ戦略の見直しやイノベーションが求められていることを受け、かねてよりイギリス政府機関であるビジネス・イノベーション・職業技能省(BIS)や、学識者、業界関係者と連携し、ベストプラクティスを確立するために必要とされていたスマートシティのガイダンスについて規格策定を進めておりましたが、このたび、PAS 180、PAS 181として、正式に発行いたしました。

現在、スマートグリッドやクラウドコンピューティング、電気自動車などの最新技術を駆使して都市全体のエネルギー効率を高め、省資源化を徹底した環境配慮型の都市形成プロジェクトが、世界各国で一斉に進められています。この目指すべき都市像は広く一般に「スマートシティ」と呼ばれており、スマートシティは、その社会的意義の面だけではなく、都市インフラ整備に必要となる投資額が巨大であること、電機、自動車、機械、IT、建設、素材、金融などあらゆる産業でビジネスチャンスが期待されることから、世界的に注目を集めています。

このようなスマートシティに対する期待が増す一方、「スマートシティに関する定義」や、「どのような状態がスマートシティとして望ましいのか」といった事柄に関しては、漠然としたコンセンサスが形成されつつあるもの、国際規格などの明確なガイドラインが存在していないため、都市インフラの国際調達の基本となる国際規格の整備が急務とされており、ISO(国際標準化機構)においても、日本が幹事国となって「ISO/TR 37150:2014スマート・コミュニティ・インフラストラクチャ」を2月中旬に発行するなど、スマートシティに関する規格策定は積極的に進められてきています。

BSIは、現在のスマートシティに関する国際標準化の流れの中で、意思決定のフレームワークや、既存の都市やインフラとの相互作用を規定する包括的な規格が欠けていると判断し、このたび発行したPAS 180とPAS 181をはじめとして、その不足部分の補完となる規格を策定する計画を進行しています。

PAS 180(スマートシティ - 用語規定)は、デベロッパーやデザイナー、製造業者、顧客がスマートシティに関して意見を交わす際に使用する用語の定義を定めた規格です。この規格によって、将来の都市形成に向けて、ビジョン、直面している課題やスマートシティの機能について議論する際に、用語の混乱による誤解を防いで意見を集約することが可能になります。
PAS 181(スマートシティ・フレームワーク - スマートシティとスマートコミュニティ戦略立案のガイド)は、スマートシティを確立するための意思決定のフレームワークを規定したガイドラインです。スマートシティプロジェクトを進めていく過程で、リーダーは様々な重要な意思決定を求められます。このガイドラインは、将来の理想的な都市像に近づけていくための戦略を立て実行していく上で、より効率的かつ効果的な方法で物事を決めていく方法をフレームワークという形で示しています。

BSIはこれらの次の段階として、PAS 182(スマートシティ・データコンセプトモデル)の策定を進めており、スマートシティに必要な情報やデータを組織間で共有するためのモデルを提示する予定です。BSIの規格開発部門はこれらのPASのISO化を視野に入れています。

PAS 規格は、 “Publicly Available Specification” の略であり、日本語では「公開仕様書」となります。この規格は信頼できる公に認知された規格を作成したいという希望があれば、どのような組織(企業、政府機関、団体、NPO、学術機関など)でも作ることが可能です。PAS が国際的に広く活用された実績をもとに、BSIが国際規格とすることをISO に提案することで、PAS規格からISO 化された規格がこれまでにも多く存在しており、現在BSIグループジャパン株式会社(東京都港区 代表取締役社長 竹尾 直章、以下BSIジャパン)においても数件のPAS規格策定プロジェクトが進行しています。
PAS規格策定サービスについて、詳細は下記URLをご覧ください。

https://www.bsigroup.com/ja-JP/our-services/PAS_standard/