コネクテッド・自動運転車両 (CAV) テクノロジーは、社会及び個人にとって、大きな変革をもたらす可能性を秘めています。それは、より安全な道路や渋滞の緩和、そしてより環境に優しく、よりアクセスしやすい交通手段を約束するものです。実に、世界のCAV市場は、2035年には9,000億ポンド(約140兆円)を超えると予測されています。
英国政府は、CAVテクノロジーの安全かつ確実な発展を目指して、2015年にCentre for Connected and Autonomous Vehicles(CCAV)を設立しました。BSIは、UK CAV Eco-system(CAVテクノロジーのトライアルに関与する組織)やCCAVと連携して、トライアルや開発試験をはじめ、CAVの安全かつ安定した導入を促進しています。
当然のことながら、CAVテクノロジーの進歩において最も重要な領域の一つは、ユーザー及び消費者の安全性に関わるものです。これは、CAVが人間の手をほとんど借りずに動作するというコンセプトに対する一般の人々の信頼と安心感を徐々に高めていくための重要なポイントです。
そのため、これまでに発行された最新のガイダンスの多くは、安全なシステムの開発に何らかの形で関連しています。例えば、PAS 1880は、自動運転車両(AV)の安全な制御システムの開発に焦点を当てた一連の初期ガイドラインを提供しています。
同様に、PAS 1881 は、CCAV独自の実施基準とともに、関連するトライアルや開発試験活動の安全性を保証するよう設計されています。この仕様書では、英国においてAVトライアルや開発試験が安全に実施できることを実証するための、最低限のセーフティケース要件を定めています。
一方、PAS 1883は、自動運転システム(ADS)の設定された領域(ODD:Operational Design Domain)、つまり意図した動作条件を特定するためのユニバーサルな分類法を提供しています。ODDは、ADSが安全に機能するよう設計された静的及び動的な属性で構成されています。PASは、CAVテクノロジーを導入する組織が、明確な言語で車両の動作環境を規定し、混乱を防ぎ、車両の能力(およびその限界)について共通の見解を伝えるのに役立ちます。
さらに、CAV開発エコシステムにおいて、極めて重要なことは、サイバーセキュリティです。車両はすでに、インフラストラクチャやIoTとの接続が進んでいます。この傾向は今後も続くと見られており、CAVにとって特に重要です。
テクノロジーの進歩に伴い、車両はよりスマートになり、外部システムとの接続や統合も深まっていきます。そのため、CAVに関わるすべての人にとって、サイバーセキュリティは重大な関心事項となっています。
PAS 1885は、このような状況下における主要なサイバーセキュリティ原則の概要を示しており、ユーザーにとって、ますます接続され、協同的な高度道路交通エコシステム(車両、インフラストラクチャ、および人間の側面)内の製品、サービス、システムに対する脅威及び危害を軽減するのに役立ちます。
このPASは、常に進化するサイバーセキュリティリスクに取り組むために重要となる、開発及び使用のライフサイクルにおけるセキュリティと機能安全の側面に適用できるように設計されています。
これに加えて、PAS 11281 は、CAVエコシステム内の組織が、製品、サービス、または活動が許容不可能な安全上のリスクをもたらさないようにすることを目的としています。一方、2021年に公開予定の新しい国際規格、ISO/SAE 21434 (自動車サイバーセキュリティ対策に関する規格)は、自動車業界が車両用の新しいUNECEサイバーセキュリティ規則を採用するのに役立ちます。
完全自動化または「無人」車両の試験やトライアルの増加に伴い、現在道路を走っている量産車や自動車も、ADAS(先進運転支援システム)と呼ばれる新しい運転支援、安全性、利便性の機能を備えた、よりインテリジェントな「自動化」が進んでいます。
以下の規格は、このようなシステムが量産車に搭載されても安全であることを保証するために、性能要件及び試験手順を規定しています。
自動車業界では、今後数年のうちに、「支援型」 運転システムから「自動化」 運転への移行が進むと予想されています。